2. テクニカルライティングで考えたマニュアル作成
2-4 ステップ3[演出(ビジュアル化)]
−情報をレイアウトする-
「読ませる・見せる」から「読んでもらう・見てもらう」へ
情報をいかに読者にとって関心のあるものにし,かつ自然に受け入れられるようにするための演出(ビジュアル化)が必要となります.
ビジュアル化にはさまざまな手法があります.身の回りにある本や雑誌にもビジュアル化の手法が多く取り入れられていますが,重要なのはそれぞれの手法の意味をよく理解して使うことです.どのような効果(=読者の理解)を得るためにどのような手法を使えばよいのか知らずして使うと紙面が煩雑になり逆効果になりかねません.
「情報のレイアウト」の提案
雑誌やグラビアの分野で使われる「レイアウト」という言葉と少しニュアンスを変えるために,あえて
情報のレイアウト
という言葉を提案します.ここで言う
情報のレイアウトとは,「読む理解」と「見る理解」を組み合わせた表現
を指します.これは
文字表現
(見出し,文章,表の内容,図中の短文)と
図的表現
(図,表の構造,イラスト,ページのレイアウト)などを組み合わせて効果的に読者の理解を得る方法です.
雑誌やグラビアのレイアウトは,一般のグラフィックデザインに由来するレイアウト(どちらか言えば「見せて納得させる理解」)であり,読者に伝える内容をかなり絞り込んだ場合を主に想定しています.これに対して,マニュアルのように一つのテーマ(例:**の使い方)に対してさまざまなケースを解説したり,注記やデータを補足しなければならない場合には,「読む理解」と「見る理解」を組み合わせることが効果的になります.
図5 情報のレイアウト:読みやすく,見やすくするテクニックは無限にあります
情報のレイアウト-「読んでもらう・見てもらう」テクニック-
「情報のレイアウト」のテクニックをいくつか解説します.これ以外にもさまざまな手法があります.
当ホームページにはここで紹介する以外のさまざまな手法の解説していますので下記の関連リンクを参照してください.
第6部 ビジュアル化する
-読む理解+見る理解の重要性-
テクニックその1:
視線の誘導
一般的に,横書きの文書ならば読者の眼はまず
左上
から紙面(あるいは画面)を見始めます.これを利用して左上に一番ランクの大きいタイトル(およびアイキャッチ)を配置します.
また,これによりレイアウトが基本統一され,検索性の向上という点でもメリットがあります.
テクニックその2:
情報の重み付け
受け手に伝える情報にはそれぞれ重要度(主,従,補)があるはずです.紙面にそれを表現しなければいけません.
そのためには,書体(ゴシック体,イタリック体),文字の大きさ,インデント(字下げ)などさまざまな方法を用いて,
「送り手から受け手に何を一番伝えたいのか語りかけてくるような紙面」
を作ってください.
テクニックその3:
情報の整理・圧縮
正確性を高めるために同じ表現を何度も繰り返す例を見ることがあります.特に安全性を重んじるマニュアルを作製する場合などには必要かもしれませんが,繰り返すことがわかりやすさにつながるとはいえません.
冗長性を除くことによりわかりやすくなる例の方が多いと思います.補足的な事項などは体現止めをした箇条書きにした場合の方がめいはりがついて受け手が理解しやすくなります.
テクニックその4:
文章の図解化
「文章を図解化(チャート化)すると効果的である」ということを頻繁に聞きます.参考書も多く出版されているので参考にされるとよいと思います.
これにはある程度の訓練が必要であると思いますが,前節で解説した
「マトリクス法」
を応用されることをお勧めします
「文書表現の中から,文書構造を見い出し,これをビジュアル化する」
という点で汎用的な方法になると考えています.
テクニックその5:
図・表の演出
この点に関しては,最近はパソコン用のグラフィックスソフトにより表現の幅が飛躍的に広がったといえます.要はこれを使いこなすことです.日頃からできるだけいい事例を見て眼を肥しておく必要があります.
加えて自分なりの理論を持つことです.たとえば詳細なデータ示すより定性的な理解を受け手に期待するならば,表をグラフ化するなど,何を伝えるためにどの方法を用いるかを考えてください.
これまで説明してきた手法を応用した事例を次にご紹介します.
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