執筆の知識
用字用語の選び方と用例


り仮名の原則−活用のない語−

   

「活用のない語」とは、名詞、数詞など活用形がない語です。この際、活用のある語から転じた語の送り仮名が不統一になる場合があります(例:代わる⇒代わり/代り)。


名詞には送り仮名を付けない」を基本にした通則

名詞に送り仮名を付けないのは当然のようですが、いくつかの例外もあります。

 通則3:「送り仮名の付け方」(内閣告示・訓令、昭和48年、昭和56年一部改正)より転載・引用

本則
名詞(通則4を適用する語を除く)は送り仮名を付けない。
    用例: 月、鳥、花、山、男、女、彼、何
例外
(1)次の語は、最後の音節を送る。
    用例抜粋: 辺、勢、幾、後、傍、互、半、斜、独、自
(2)数をかぞえる「つ」を含む名詞は、その「つ」を送る。
    用例抜粋: 一、二、三、幾


“活用のある語から転じた名詞”などはもとの“活用のある語”による」を基本にした通則

「許容」に含まれる送り仮名を省く例は、「欠席届」、「休暇願」など慣用語が定着した場合に限るのが適切です。

 通則4:「送り仮名の付け方」(内閣告示・訓令、昭和48年、昭和56年一部改正)より転載・引用

本則
活用のある語から転じた名詞及び活用のある語に「さ」、「み」、「げ」などの接尾語が付いて名詞になったものはもとの語の送り仮名の付け方によって送る。

(1)活用のある語から転じたもの

    用例: 
    、仰、恐、薫、曇、調、届、憩、晴
    たり、代わり、向かい
    、答、問、祭、群
    、愁、憂、香、極、初
    、遠
(2)「さ」、「み」、「げ」などの接尾語が付いたもの
    用例: 
    暑さ、大さ、正さ、確
    み、重み、憎み、惜
例外
次の語は送り仮名を付けない
    用例: 
    謡、虞、趣、氷、印、頂、帯、ただ見
    卸、煙、恋、志、次、隣、富、恥、話、光、舞
    折、係、掛(かかり)、組、肥、並(なみ)、巻、割
許容
読み間違えるおそれのない場合は、次の()の中に示すように、送り仮名を省くことができる。
    用例: 
    (曇)、届(届)、願(願)、晴(晴)
    り(当り)、代り(代り)、向い(向い)
    (狩)、答(答)、問(問)、祭(祭)、群(群)、憩(憩)


副詞・連体詞・接続詞最後の音節を送る」を基本にした通則

標記の通則もさほど迷う送り仮名ではありません。ただし、「更に」、「全く」、「及び」、「且つ」、「又」などは当コーナーのひらがな書きが適当な 語−動詞・名詞を中心にして−ひらがな表記を薦めています。

通則5:「送り仮名の付け方」(内閣告示・訓令、昭和48年、昭和56年一部改正)より転載・引用

本則
副詞・連体詞・接続詞は、最後の音節を送る。
    用例: 
    、更、少、既、再、全、最
    、去
    、且、但
例外

(1)次の語は、次のように送る。

    用例: 明くる、大いに、直ちに、並びに、若しくは
(2)次の語は送り仮名を付けない。
    用例: 又
(3)次のように他の語を含む語は、含まれている語の送り仮名の付け方によって送る。
(含まれている語を〔 〕の中に示す。)
    用例: 
    併せて〔併せる〕、至って〔至る〕、恐らく〔恐れる〕、従って〔従う〕、絶えず〔絶える〕、例えば〔例える〕、努めて〔努める〕
    辛うじて〔辛い〕、少なくとも〔少ない〕
    互いに〔互い〕
    必ずしも〔必ず〕


参考および引用文献

送り仮名の付け方(昭和48年6月18日、昭和56年10月1日 一部改正)内閣告示・内閣訓令

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