

読点、句点および記号の使い方
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句読点(句点および読点)を使う際には、適切な目安が必要です。同様に、記号も技術文書での一般的な用例に基づいた使い方が適切です。
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読点の考え方
読点「、」もしくは「、(全角コンマ)」は、語句、文節を明確にする目的で用います。ただし、語句あるいは文節のたびに用いるのではなく、優先的な箇所に用いるのが適当です。1文に1箇所ないし2箇所が「平均の目安」です。
読点の多用は、「一見すると読みやいが、発散的で語句、文節の関係が把握しづらい」文に陥るおそれがあります。

読点のチェックポイント
「読点を入れる」ばかりが読点の使い方ではありません。「読点を入れない」のも読点の使い方の一つです。「関係の強調(文節あるいは語句の関係を際立たせる箇所に用い、他の箇所には入れない)」として使えば、不要に読点を使わずにすみます。
読点の使い方とは「読点を入れ方」ととらえず、「句読点を必要以上に使わずにすむ、明解な文」の発想とあわせて使い方を考えるのが本質と言えます。
見直しの対象 |
チェック項目 |
要約例(一部省略) |
文の分断につながりやすい箇所 |
語をつなぐ接続詞の後 |
Aと、B |
読点を入れた文頭の接続詞、副詞句に続く主語の後 |
ただし、Aは、・・ではない。 |
一連の動作・行為を表す文節の間 |
Aを・・し、Bを・・したら、Cを・・・します。 |
文節中の主語の後 |
Aが、・・・すると、Bは、・・・します。 |
補語の後、目的語の後 |
Aは、Bに、Cを、・・・する。 |
連語の後 |
Aにおける、BのCは |
修飾語中あるいは修飾語の後 |
(省略) |
不統一になりやすい箇所 |
語をつなぐ接続詞の前 |
(省略) |
複文と重文を組み合わせた際の同格節の間 |
(省略) |
読点がもれやすい箇所 |
文頭の主題、副詞・副詞句 |
(省略) |
2文節で構成される重文・複文の文節の間 |
(省略) |
句点の使い方
句点「。」もしくは「。(全角ピリオド)」は、文の区切りに用います。文章体(用言:活用形のある語)の文末に用いるのが基本の使い方です。
「必ず1文でしか表さない箇所」あるいは「鍵かっこで区切られている文の末尾」には、句点を省くのが通例です。
読点とともに句点の使い方にもさまざまな慣例があります。どれが正しいとは申しませんが、実務文書で定着した用法に沿い、文書での使い方を統一するのが基本です。

「読点(、)-句点(。)」と「全角コンマ(、)-全角ピリオド(。)」の扱い方
「読点(、)-句点(。)」の対は縦書き文書に用い、「全角コンマ(、)-全角ピリオド(。)」の対は横書き文書に用いるのが基本です。また、これらの対を同じ文書で混用しないのが原則です。
横書き文書が基本の技術文書では「全角コンマ(、)-全角ピリオド(。)」を用いるのが本来ですが、「読点(、)-句点(。)」を用いる習慣が増えつつあります。
大切なのは「読点(、)-句点(。)」と「全角コンマ(、)-全角ピリオド(。)」それぞれの本来の位置付けを知ったうえで、いずれかを企業で統一して用いることです。
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もちろん、文書中でコンマとピリオドを伴う欧文(例:参考文献)を用いる際は、「半角コンマ(,)-半角ピリオド(.)」です。
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当サイトでは、横書き文書かつ技術文書の主旨から「全角コンマ(、)全角ピリオド(。)」の対を用いています。
記号の使い方
実務文書に用いられる記号は、それに付く語もくしは文との関係から「囲み記号」、「区切り記号」および「つなぎ記号」に分類できます。“決まり事”ではありませんが、定着した用法に沿うのが適切です。
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しばしば、中点「・」と読点「、」の違いを尋ねられます。中点は語と語を“連結的に(独立性を保ちつつ一対もしくは一体として)用いる”場合に使うのが一般的です。対して、語と語の間の読点は「語の区切り」に用います。
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中点の代表的な使い方に東急東横得線の駅名の「元町・中華街」があります。本例は「元町」と「中華街」を一対として表した例です。同様に「東急東横線・みなとみらい線路線図」も二つの路線図を一体化して語に表した例です。
和文では、全角の記号を用いるのが基本です。ただし、和文中で部分的に英文を用いる箇所には半角の記号を用います(例:欧文文献一覧、数式・化学式、欧文略記、その他)。

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