「複合の語」とは、送り仮名を有する語が連なった(複合した)語です。原則とともにさまざまな例外があり不統一になりやすい語です(例:組み立てる/組み立て/組立て/組立)。 |
ワープロの変換の際によく迷う例です。迷ったならば、「動詞の場合は両方」とし「名詞の場合は後のみ」とするのが適当です。
「読み間違えるおそれのない場合は、送り仮名を省くことができる」とありますが、技術文書では「きわめて定着した慣用をすでに使っている場合に限り」ととらえたほうが適切です。
ただし、慣用的に後の語の語尾も省く語がある場合(他の語と複合する場合)には、それに従っても差し支えありません(「取扱説明書」という語が一般的であればこれを使っても差し支えない) 。
本則 | 複合の語(通則7を適用する語を除く。)の送り仮名は、その複合の語を書き表す漢字の、それぞれの音訓を用いた単独の語の送り仮名の付け方による。 (1)活用のある語用例抜粋:
書き抜く、流れ込む、申し込む、打ち合わせる、向かい合わせる、長引く、薄暗い (2)活用のない語
用例抜粋:
後ろ姿、斜め左、独り言、目印 封切り、日当たり、夜明かし、先駆け、手渡し 合わせ鏡、生き物、落ち葉、預かり金 売り上げ、取り扱い、乗り換え、引き換え、申し込み、移り変わり 長生き、早起き 粘り強さ、無理強い、呼び出し電話 次々、常々、近々、休み休み |
許容 | 読み間違えるおそれのない場合は、次の()に示すように、送り仮名を省くことができる。 用例抜粋:
書き抜く(書抜く)、申し込む(申込む)、打ち合わせる(打ち合せる・打合せる) 向かい合わせる(向い合せる) 封切り(封切)、日当たり(日当り)、合わせ鏡(合せ鏡)、預かり金(預り金) 売り上げ(売上げ・売上)、取り扱い(取扱い・取扱)、乗り換え(乗換え・乗換)、引き換え(引換え・引換)、申し込み(申込み・申込)、移り変わり(移り変り)、呼び出し電話(呼出し電話・呼出電話) |
(注意) | 「こけら落とし(こけら落し)」、「さび止め」、「洗いざらし」、「打ちひも」のように前または後ろの部分を仮名で書く場合は、他の部分については、単独の語の送り仮名の付け方による。 |
主として法令や制度で定められた用語あるいは特定分野の用語が一般化した語です。これらの語があるからといって、一般化していない語の送り仮名をむやみに省くのは避けるべきです。
複合の語のうち、次のような名詞は、慣用に従がって、送り仮名を付けない。 (1)特定の領域の語で、慣用が固定していると認められるもの ア 地位・身分・役職等の名 例:関取、頭取、取締役、事務取扱
イ 工芸品の名に用いられた「織」、「染」、「塗」等 例:《博多》織、《型絵》染、《春慶》塗、《鎌倉》彫、《備前》焼
ウ その他 例:
書留、気付、切手、消印、小包、振替、切符、踏切 請負、売値、買値、仲買、歩合、両替、割引、組合、手当 倉敷料、作付面積 売上《高》、貸付《金》、借入《金》、小売《商》、積立《金》、取扱《所》、取扱《注意》、取次《店》、取引《所》、乗換《駅》、乗組《員》、引受《人》、引受《時刻》、引換《券》、《代金》引換、差出《人》、待合《室》、見積《書》、申込《書》 (2)一般に、慣用が固定していると認められるもの 例:試合、字引、場合、日付、役割、割合、合図、合間、立場、建物、受付、受取
|
送り仮名の付け方(昭和48年6月18日、昭和56年10月1日 一部改正)内閣告示・内閣訓令 |
実践テクニカルライティングセミナー
マニュアル作成の進め方とわかりやすいマニュアルのポイント
Copyright: Takaaki-YAMANOUCHI/1995-2020
山之内孝明/有限会社 山之内総合研究所
Takaaki Yamanouchi/ Yamanouchi Research Institute, Ltd.