執筆の知識
用字用語の選び方と用例


送り仮名の「より所

   

送り仮名がある語を漢字変換した際に、複数の送り仮名の候補が表示される場合があります(例:行う/行なう、組合せ/組み合わせ/組み合せ)。なんらかの「より所」に沿っていないと、文書中での不統一につながります。


「送り仮名の付け方」(昭和48年、昭和56年一部改正 内閣告示)主旨

送り仮名を判断する際の基準になるのは「送り仮名の付け方」(内閣告示・訓令、昭和48年、昭和56年一部改正)です。その主旨は「常用漢字表」と同様に「より所」であり「目安」です。

 

 この「送り仮名の付け方」は、法令・公用文書・新聞・雑誌・放送など、一般の社会生活において、「常用漢字表」の音訓によって現代の国語を書き表す場合の送り仮名の付け方のよりどころを示すものである。
 この「送り仮名の付け方」は、科学・技術・芸術その他の各種専門分野や個々人の表記まで及ぼそうとするものではない。
 この「送り仮名の付け方」は、漢字を記号的に用いたり、表に記入したりする場合や固有名詞を書き表す場合を対象としていない。

 


「送り仮名の付け方」(昭和48年、昭和56年一部改正 内閣告示)構成

「送り仮名の付け方」は、「単独の語」と「複合の語」で構成されています。また、単独の語は、「活用のある語」と「活用のない語」で構成されています。

 「送り仮名の付け方」(内閣告示・訓令、昭和48年、昭和56年一部改正)より転載・引用

単独の語
活用のある語
通則1 
活用語尾を送る語に関するもの
活用のある語(通則2を適用する語を除く。)は活用語尾を送る。
    、考える、濃
通則2 
派生・対応の関係を考慮して、活用語尾の前の部分から送る語に関するもの
活用語尾以外の部分に他の語を含む語は、含まれている語の送り仮名の付け方によって送る。
    動かす〔動く〕、向かう〔向く〕、浮かぶ〔浮く〕
    んずる〔重い〕、確かめる〔確かだ〕、重たい〔重い〕、細かい〔細やかだ〕、柔らかい〔柔らかだ〕んずる〔先〕、めく〔春〕、ろめたい〔後〕
活用のない語
通則3
名詞であって、送り仮名を付けない語に関するもの
名詞(通則4を適用する語を除く)は送り仮名を付けない。
    月、鳥、花、山、男、女、彼、何
通則4
活用のある語から転じた名詞であって、もとの語の送り仮名の付け方によって送る語に関するもの
活用のある語から転じた名詞及び活用のある語に「さ」、「み」、「げ」などの接尾語が付いて名詞になったものはもとの語の送り仮名の付け方によって送る。
    、仰、恐、薫、曇、調、届、憩、晴
    暑さ、大さ、正さ、確
通則5
副詞・連体詞・接続詞に関するもの
副詞・連体詞・接続詞は、最後の音節を送る。
    、更、少、既、再、全、最
複合の語
通則6
単独の語の送り仮名の付け方による語に関するもの
複合の語(通則7を適用する語を除く。)の送り仮名は。その複合の語を書き表す漢字の、それぞれの音訓を用いた単独の語の送り仮名の付け方による。
    、流、申、打わせる、向かいわせる、長引、薄暗
    姿、斜左、独言、目印
通則7
慣用に従がって送り仮名を付けない語に関するもの
複合の語のうち、次のような名詞は、慣用に従がって、送り仮名を付けない。
    関取、頭取、《博多》織、《型絵》染、書留、気付、切手、消印
    試合、字引、場合、日付、役割


参考および引用文献

送り仮名の付け方(昭和48年6月18日、昭和56年10月1日 一部改正)内閣告示・内閣訓令

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