執筆の知識
用字用語の選び方と用例


送り仮名が不統一になりやすい−複合の語、活用のない語−

   

複合の語(送り仮名を伴う語を連ねた語)も不統一になりがちです。「くみたて」も「組み立て」、「組立て」、「組立」とさまざまな表記が入り混じりがちです。何が原則で何が慣用なのかを確認して用いる必要があります。

 掲載した事例に関する付帯事項足

  • 当セクションで取り上げた用例は、技術文書をはじめとする実務文書でよく使われる表現からの抜粋です。

  • 当セクションで取り上げた用法は、「送り仮名の付け方」(平成3年 内閣訓令第二号)に基づいています。「送り仮名の付け方」(平成3年 内閣訓令第二号)で許容されている表記(どちらの表記を使ってもよいもの)の場合は 、複数をそのまま掲載するあるいは各種の出版物の傾向および慣用例を勘案して筆者が判断しています。


注意が必要な複合語の送り仮名−動詞と名詞の送り仮名の違い−

不統一になりがちなのは、既にある表記を「原則に沿った表記なのかあるいは慣用的な表記」なのかを判断せず引き継いでいる」ためと言えます。

慣用が固定しているか否かを誰かが判断しているわけではありません。社会全般あるいは専門分野で用例が大勢を占めているかによります。前例があったからといって安易に引き継ぐあるいは他の語にも適用するのは避けるべきです。

「送り仮名の付け方」、用字用語集などから勘案して奨める表記

備考(慣用)

活用のある語

活用のない語

わせる

打合(打合せ場所)

える

切替(切替えスイッチ)

切替スイッチ

わす

組合

てる

組立(組立てライン)

組立ライン、組立工

べる

繰延(繰延べ時間)

繰延時間

取扱(取扱い説明書)

取扱説明書

える

乗換(乗換え切符)

乗換切符

える

引換(引換え券)

乗換券

ける

引受(引受け案件)

引受案件

引継(引継ぎ事業)

引継事業

見積もる

見積(見積り金額)

見積書

かいわせる

かいわせ

込み(申込み用紙)

申込用紙


注意が必要な複合語の送り仮名−活用のない語−

「活用のない語」にも「読み間違える恐れがない場合には送り仮名を省く」という慣用が許容されています。これも不統一の原因になりかねません。文書内での統一を図る必要があります。

 

「送り仮名の付け方」、用字用語集などから勘案して勧める表記

備考(慣用)

活用のある語

活用のない語

たる

たり(1日当たり)

当り

わる

わり

代り

かう

かい

向い

べる

(延べ人数)

延人数


参考および引用文献

送り仮名の付け方(昭和48年6月18日、昭和56年10月1日 一部改正)内閣告示・内閣訓令
野村雅昭 編:「東京堂 用字用語辞典」、東京堂出版、1981
当ページの表を作成するにあたり用語選択の参考にさせていただくとともに用例の一部を引用させていただきました。

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