

異字同訓語の例−ひらがな書き、漢字書きの使い分けが適当な例-
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前述したように、異字同訓語であっても意味にあまり大きな違いがない場合は、使い分けによる誤解を避けるためにひらがな書きする慣例があります。また、「抽象的な対象」にはひらがな書きとし「具体的な対象」には漢字書きにする慣例があります。 掲載した事例に関する付帯事項
当セクションで取り上げた用例は、技術文書をはじめとする実用文書でよく使われる表現からの抜粋です。
当セクションで取り上げた
用例は、複数の用字用語辞典を参考にしています。用字用語辞典で許容(複数の表記のいずれを用いてもよい)されている用例の場合は
、複数をそのまま掲載するあるいは各種の出版物の傾向および慣用例を勘案して筆者が判断しています。
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ひらがな書きで統一するのが適当な語
意味にあまり大きな違いがない場合は、使い分けによる誤解を避けるためにひらがな書きにするのが適当です。
ひらがな書き |
漢字書き |
備 考 |
あげる | 上げる<一般的表記>/揚げる<慣用的表記>) | 下から上にあがる |
わかる | 分かる<一般的表記>/判る/解る |
明きらかになること
注:判る/解る(いずれも常用漢字にない音訓) |
-である | -で有る/在る | -で有る(物がある)/在る(存在する) |
もとに | 下に/元に | 下に(支配にある意味)/元に(一般的) |
【再掲】 漢字書きとひらがな書きの使い分けが適当な語−「事物」を指す名詞⇔形式名詞、その他−
先に述べてように、形式名詞(修飾語を伴って意味をなす名詞)はひらがな書きが通例です。ただし、具体的な「事物」を指す際は名詞として使く際は漢字書きにします。
漢字書き(「事物」を指す名詞) |
ひらがな書き(形式名詞、その他) |
事が起きる 【出来事・事態】 |
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時がたつ 【時間】 |
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変化した所 【場所・箇所】 |
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低い方へ 【方角・方向】 |
AよりBのほうが 【比較・選択
または方向性・方正】 |
物がある 【物体】 / 見た者
【人】 |
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参考および引用文献
野村雅昭 編:「東京堂 用字用語辞典」、東京堂出版、1981
国語審議会漢字部会:「異字同訓」の漢字の用法、第80回国語審議会総会、1972
北原保雄、鳥飼浩二編:同音語同訓語の使い分け辞典、東京堂、1995
阿久根末忠:活用自在同訓異字辞典、柏書房、1994
中沢希男編:同字同訓辞典、東京堂出版、1980 |
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