

解説付き抜粋 その9
再校の素読み
「素読み」の目的
先に、再校校正の段階で「赤字合わせ」のあとに「素読み」を行うと述べました。「素読み」は出版物としての最終確認を行うためのもので二つの目的があります。
一つには、出版物としての体裁を確認すること
もう一つには、読者や発行者に影響を与えるような重大な誤りがないか確認すること
前者は「初校校正」で確認したことの再確認であり、後者は「原稿調整」で確認したことの再確認になります。
しかし、これらは原稿で確認したから、初校で確認したからといってそのままでよいとは限りません。編集・製作工程で思わぬ誤りや思い違いをしている場合もあります。最後に落ち着いてもう一度確認することを欠かしてはなりません。
出版物の体裁の確認-チェックリストを作る-
体裁の確認にはチェックリストを使うのが効果的です。目次から始まって索引までを「行見出し」にして、チェック事項を「列見出し」にするとよいでしょう。素読みをして確認したらそのたびに「済」とか日付を記入しておきます。
注意をしていだきたきたいのは、この「体裁と確認」と次に述べる「内容の確認」を同時に行わないことです。たとえば、見出しの確認をするときはそれだけを章をとおして行うようにして他の確認はその後でします。
内容の確認-複数の担当者でダブルチェックする-
先の述べたように出版物には、誤っていると読者や発行者に重大な影響を与えるような内容が含まれています。たとえば、氏名、企業名、製品名などの固有名称の誤りはそれらに関わる人や企業の名誉を損なうことになりますし、数値や日付の誤りあるいは誤解を伴う表現は発行者への信用を損なうことになります。
これを避けるには、内容に対してしかるべき責任をもてる担当者が複数でチェックすることが必要です。これは分担して素読みを行うというのではなく、同じものをそれぞれ独自によみそれぞれが万が一見落としをした際に補完することが目的です。
素読みする際には、必ず原稿や初校などを手元において少しでも疑問が生じたら、原稿や初校を確認したり、ときには原稿を疑うことも必要となります。
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