改訂を行った際には、「いつの」および「何番目」の版(改訂版数)であるか明確に示す必要があります。また、同時に「どのような改訂を重ねてきたのか(改訂履歴)」も示しておかなけばなりません。
改訂版数は、発行日と対にして表記するのが原則です。改訂版数は文書の以下の箇所に表記します。
表紙
扉(表紙に挿入するタイトルページ)
奥付(著作権を表示するページ)*日本の出版物では巻末ページ、欧米の出版物では扉の裏
いずれの場合も「タイトル(出版物の名称)」の後に表記するのが一般的です。
また、必要に応じて各ページ(あるいは見開きのいずれかのページ)のヘッダまたはフッタに改訂版数を表記することがあります。この場合には発行日を省略するのが一般的です。
出版物(たとえば単行本)では、改訂版数は改訂ごとに、第2版、第3版・・・と版数を“整数”で重ねていくのが基本です。
単行本の奥付に、「第1版第2刷」とか「第3版第1刷」のように表記されているのを見たことがあるかもしれません。「第*刷」という表記は同じ版で何回目の印刷かを表すものです。この「刷」の際に誤字誤植の修正をしていることがありますが、内容構成にかかわる改訂は「版」で示しています。
これに対して、マニュアルでは版数に“小数点以下”を付けて、部分改訂(製品仕様の変更を伴わない改訂)と全面改訂(製品仕様の変更を伴う改訂)を区別する表記をよく用います。
小数点以下を使う表記は、通常の出版物ではあまり用いることがありません。ソフトウェアのバージョンに用いられる表記が転用されたものと考えられます。
この際、「製品仕様の変更」をどのように位置付けるのかは、マニュアルを作成する各企業・団体が独自に定めるものですが、以下の点に配慮すべきであると考えます。
版数表示が複雑化することを避ける(小数点以下が2桁以上の版数をつけない。例:第1.11版とせずに第1.2版)
変更がない増刷だけで版数を上げない(増刷の場合の版数は同じとし日付だけ変更する)
製品のソフトウェアのバージョン数と混同しやすい表記を避ける(例:Ver.1.1とせずに第1.1版)
ソフトウェアのバージョン数とマニュアルの版数を同じにしている例をしばしば見かけます。ソフトウェアのバージョンが変わるごとに必ずマニュアルを改訂するならば問題はないかと思いますが、必ずしもそのようにはならない場合があります。この場合には次のような表記が考えられます。
***取扱い説明書(第2版 2001年6月1日発行)[***ソフトウェアVer.1.2対応]
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