用字用語のポイント その4:読みが同じ漢字の使い分け
異字同訓語の例
−テクニカルライティングで使う可能性のある語の抜粋−
異字同訓語の扱い関する注意
訓読みが同じでもそれぞれの漢字にはそれ自体の意味があります.したがって,文中では用いる意味に沿って使い分けることが基本です.
国語国字的な厳密性を求めればすべての漢字には固有の意味,由来があるはずです.
しかし,現代の文書,それも実用書においてそこまで意味の違いを追求するとかえって読者の混乱や誤解につながりかねない場合があります.
同じ読みの漢字でありその意味もほとんど同じ場合には,これを使い分けるのは実用上困難であり用字用語集でもひらがな書きを示しています.
また,抽象的な対象には漢字書きとせずにひらがな書きにして漢字書きと使い分ける慣用もあります
漢字の意味にあまり際がない場合にこれをひらがな書きしたり,抽象的な対象と具体的な対象でひらがな書きと漢字書きを使い分けることは慣用的ではありますが合理的な方法だと思います.このような用法は学術書や実用書を発行している出版社でもよく使われています.
漢字書きを使い分けるのが適当なもの
漢字の意味に応じて使い分ける必要がある
表す
(言葉に表す),
現す
(姿を現す)
ひらがな書きが適当なもの
文中で使う場合,漢字の意味にあまり大きな差異がない
使い分けることでかえって誤解をまねくことを避ける
わかる
(分かる/判る/解る)
-である
(-で有る/在る)
ひらがな書きと漢字書きを使い分けるのが適当なもの
抽象的な対象にはひらがな書きとし,
具体的な対象には漢字書きにする
もの
(抽象的な対象),
物
(物体),
者
(人)
注 記
当ページで取り上げた用例はマニュアルをはじめとした実用文書でよく使われる表現からその一部を抽出したものであり,すべてを網羅するものではありません.
意味に応じて漢字を使い分ける -動詞-
ひらがな書き
漢字書き
備 考
(あらわす)
表す
(文章に表す)
言葉や感情外やおもてに出す
現す
(姿を現す)
見えなかったものやが見えるようになる
(かえる)
変える
(形を変える)
以前と違った状態にする<変化>
換える
(書き換える)
とりかえる<交換>
代える
(あいさつに代える)
かわりの役をする<代理>
替える
(入れ替わる)
前のをやめ新しいものにする<交代>
(こえる)
越える
(山を越える)
一般的な表記:「こえる」でもかまわない
超える
(制限量を超える)
慣用的な表記:一定の基準を上回る場合
(つくる)
作る
(規則を作る)
一般的な表記:ひらがな書きでもかまわない
造る
(船を造る)
慣用的な表記:大規模な工業製品や土木工事について使うが「作る」,「つくる」でもかまわない
(のぼる)
上る
(1億円に上る)
一般的な表記:下るの反対語
登る
(山を上る)
慣用的な表記:上るでもよい場合が多い
昇る
(日が昇る)
慣用的な表記:上るでもよい場合が多い
(はかる)
計る
(時間を測る)
計算や計画の場合に使う
測る
(距離を測る)
大きさ,長さなどの測定,測量に使う
図る
(解決を図る)
工夫したり,考えをめぐらしたりする意味に使う
意味に応じて漢字を使い分ける -名詞-
ひらがな書き
漢字書き
備 考
(かた)
形
( shape)
目に見えるもののかたち名詞
型
( type)
手本,タイプ,パターン
参考および引用文献
野村雅昭 編:「東京堂 用字用語辞典」,東京堂出版,1981
国語審議会漢字部会:「異字同訓」の漢字の用法,第80回国語審議会総会,1972
北原保雄,鳥飼浩二編:同音語同訓語の使い分け辞典,東京堂,1995
阿久根末忠:活用自在同訓異字辞典,柏書房,1994
中沢希男編:同字同訓辞典,東京堂出版,1980
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