

指示文の基本
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読者である「行為者(例:ユーザ)」を主語にしてしなければならない行為を表す文を「指示文」とよびます。多くの場合は「(あなたは)対象を行為してください」と文末を敬語で表しますが、マニュアルによっては「-する(平常文)」あるいは「-します(平常文の丁寧表現)」で表す場合があります。
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「1項目=1行為」の原則
いくつかの指示文で手順(箇条書き形式)を構成する際、その1項目に表す指示文は一つ(1行為)とするのが原則です。操作マニュアルなどで不要に複数の指示文を1項目にまとめると、誤操作につながるおそれがあります。
とりわけ、途中で結果の確認を要する手順では、不要に複数の操作を1項目にまとめないのが基本です。

結果を伴う操作の表し方
指示文とともに結果(例:製品の動作)も「読者の視点」で表します。指示文が「(あなたは)-を-します」に対して、結果も「(あなたから見ると)-が-されます〈受け身文〉」もしくは「(あなたから見ると)−が-します〈自動詞文〉」で表すのが基本です。
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「製品が登録画面を表示する」は目的語を伴う他動詞文であり、結果ではありますが製品の「動作」を表しています。読者の視点では、「(あなたの操作がきっかけとなり)登録画面が
表示される(様子が目に映る)」という「事象」を結果として表すのが適当です。
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「製品が起動する」は製品自体の動作を表す自動詞文です。読者の視点からは「(あなたの操作がきっかけとなり)製品が起動している(様子が目に映る)」という「事象」と言えます。
ただし、一部のマニュアルでは結果を「(あなたから見ると)製品が-を動作します〈他動詞文〉」で表す場合があります。とりわけ、プログラム開発ガイドなどではプログラムコンポーネントの“動作”を「**クラスが**を取得します」と必ず主語を明示した他動詞文で表します。
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詳細は割愛しますが、一般の製品マニュアルでは操作指示の際に注目している動作の主体は一つ(ないし数個)です。対してシステム開発ガイドあるいはプログラム開発ガイドでは動作の主体が複数が基本であり、相互が関係しあって動作します。複数の動作の主体を同じ視点で表すため、これらのマニュアルでは結果を他動詞文で表します。
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複数の行為者がかかわる行動マニュアルあるいは業務マニュアルでも同様に「行為者Aが・・・」、「行為者Bが・・・」とする場合があります。

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