再校校正(素読みと赤字合わせ)が完了すれば編集も最終段階です。再校を製作担当者に渡し修正をしてもらいます。この修正をしたものが「3校」です。
この「3校」のことを「念校」とよぶことがあります。正確な語源は知りませんが「念を入れるための校正」を意味していると思います。
出版や印刷の分野では「再校」で校正を完了する習慣がある(あるいはあった)ため、校正は基本的に再校までで再校を確認する校正を「念校」と特別によぶのではないかと理解しています。
この3校と再校を照合し赤字がなくなれば校正完了です。校正が完了したら製作担当者にそれを伝えて印刷工程に進みます(ディジタル文書ならばそのまま配信ということになります)。製作担当者に校正が完了したことを伝えることを「責了(責任校了の略)」とよびます(「校了」とよぶ習慣もあります)。
通常、責了する際は3校の最初に赤字で「責了」と大きく明記して製作担当者に渡します。執筆者(あるいは編集者)が自らの責任を示す宣言のようなものです。
責了したらもう後も戻りはできません。後で「しまった」と思わないように落ちついた状況で責了することを心がけてください。
3校に再校の修正もれによる赤字が入ってしまう場合があります。この場合には製作担当者の責任でもって修正をしそれ以上に校正刷を作成しないが習慣です。しかし、念を押す意味で修正のあったページだけ校正刷を作り確認することもあります(これを「抜き校」あるいは「抜き念」とよびます)。
たまに、3校の段階になってもまだ追加修正をしていることがあります。追加修正にはさまざまな事情がありますから一概に批判することはできませんが、初校-再校-3校に従って赤字がなくなっていく「収束型」が編集の基本です。常に追加修正が発生するような場合には編集体制そのものを見直す必要があると思います。
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