1. わかりやすいマニュアルを作るには
1-3 テクニカルライティングの勧め
テクニカルライティングは専門家だけのものではない
テクニカルライティングは「テクニカルライター」と呼ばれる専門家だけのものではありません.技術者の共通基礎としてもっているべきものですが,技術者にとってそのような教育を受ける機会はあまりないのが現状です.
技術者として,組織の一員として製品(すなわち商品)に関わっているからには文書作成に無縁ではありません.マニュアルのみならず製品企画書・製品仕様書や,報告書,社内・社外へのプレゼンテーションなど文書作成の機会は多々あります.また,管理者として人が作成した文書を評価しなければならないこともあるはずです.是非この機会にテクニカルライティングについて理解を深めていただきたいと思います.
技術者(とりわけ日本の技術者)は,文書作りは自分達の仕事ではないと思い込みがちです.そこで,マニュアルを作るのに製作プロダクションや技術翻訳会社に委託する(極端な言い方をすれば丸投げする)ことが多くなります.外部の専門能力を活用すること自体は誤りではありませんが,そうしてできたものがはたして本当に読者(ユーザ)が理解できるものか,費用に見合った効果が上げられるものなのかを正しく見極める眼だけはもっていていただきたいと思います.
また,技術者自身がマニュアルを作成する(あるいはマニュアル原稿を作成する)場合,よく技術仕様書をベースにマニュアルを作ってしまうことがあります.しかし,技術仕様書は技術者の論理で作られているもので,ユーザが製品を使うという視点では作られていません.さらに,マニュアル作りとは文章を書くことと考えがちで,図解したほうがわかりやすいことでも何もかも文章で表現しようとしたりします(逆にとても初心者では理解できない専門的な図を入れてしまうこともあります).ユーザの視点でマニュアルを作るとはどのようなことかを体系立ててご理解していだだきたいと思います.
けして技術者のすべてにテクニカルライティングを教育し(できればそうありたいところですが),会社の中に専任の部門を設けなければならないと言うのではありません.どのような文書をどのような規模で作成するかに応じてテクニカルライティングの導入を検討すればよいのです.テクニカルライティングをより理解し,マニュアル作りに反映させるには,セミナーに参加したりコンサルティングを導入することをお勧めします.
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